会長の”三行日記”

2013.06.12

統一球の混乱 No.2409

 もうシ-ズンが始まって2ヶ月以上経っているというこの時期に、統一球が昨年と違って作られ、使用されているという事実が判明しました。なぜこの時期にということなのですが、プロ野球界は無用の混乱を招いてしまっています。

そもそもその背景は、大リ-グでの使用球や今年行われたWBCでの使用球などとの違いから、日本プロ野球も国際化を図った統一球にしなければというのが出発点でした。

このため、一昨年の2011年度から、それまでの各球団ごとに選択していた公式球を、全てミズノ製の統一球を使用することに改めたのです。この結果、ボ-ルの反発係数をそれまでより低く抑えたため、以前よりボ-ルが飛ばず、ホ-ムランも出にくくなってしまったのです。

いわゆる飛ばないボ-ルというものです。ここまでの日本野球機構(NPB)がとった処置は、結果はともかく、その趣旨から決して責められるようなことではないと思います。大リ-グに移籍する選手も増えてきたり、日本のボ-ルがあちらに比べて飛び過ぎるのでは何かと不都合が生ずるからです。

でも導入により極端な打率の低下やホ-ムランの減少を招き、投高打低となった野球が顕著となりました。これが2年も続いたからでしょう。野球そのものが面白くなくなってきているという声が一部にも聞かれ、日本野球機構(NPB)がとった処置とは、今シ-ズンを前にして製造会社のミズノに対して、反発係数の調整を指示していたのです。

それも内緒でこっそりとやっていたのです。NPBに言わせると、反発係数の検査で下限を下回るボールが頻出し、反発係数の下限を守るためといった答弁をしているようですが、どうもそれも言い逃れのように聞こえてしまいます。

今シ-ズン、ここ2年間よりぐっとホ-ムランの数も増え、選手ばかりでなくフアンの間からも、飛ぶボ-ルに変わったのでは?という声があちこちに聞かれるようになりました。こうした声が高まるにつれて、NPBもこの時点で発表しないわけにはいかなくなったのでしょう。

問題は今シ-ズンを前に、なぜNPBが独断でそういった処置を取ったかです。導入の結果がどうあれ、NPBだけで結論を出せる問題ではないはずです。そもそもの出発点の趣旨や、野球をもっと面白くさせる事情があるにしても、そこには当然、選手を含めた球団関係者との話し合いがあってしかるべきです。

NPBはメ-カ-のミズノにまで、そうした指示があったことは内密にという通達を出していたと言います。そうした隠蔽体質そのものが大きな問題であると考えます。加藤良三コミッショナ-は自分は何も知らされていなかったと述べています。

でも、もしそれが本当であっても、統一球に自分のサインまで刻印されていることだけに、知らなかったでは済まされないのではないでしょうか。そうした隠蔽体質の組織の長ゆえに、大きな責任を感ずるものです。とにかく選手やフアンあってのプロ野球であることをよく自覚してもらいたいものです。