会長の”三行日記”

2013.04.18

挫折からの変貌 No.2381

大企業はその効果で収益を上げているようですが、私たち中小企業にはまだ、いまいち実感のないアベノミクス効果ですが、生み出しの当事者である安倍首相の動静が気に掛かります。

新聞のコラムには、一度挫折したくせに何だとか、だいいち体は大丈夫なのかという話が続くと思えば、逆にその支持率が堅調となると、挫折から学んだとか、決められる安倍政治の成功の秘訣という話に豹変するのはうんざりだと載っていました。

こうしたマスコミの浅薄さに振り回されている首相にも同情しないわけでもありませんが、その安倍さんが明らかに変わってきたという記事を読みました。3月17日の自民党大会、首相の話法が違ってきたというのです。

そこには、ここ一番で最高権力者が自分のことをどう呼ぶかで、首相や政権の性格を的確に反映すると指摘していました。たとえば小泉純一郎首相の場合は三人称単数形です。「自民党がやれないことをやるのがコイズミだ

あえて自分を三人称で呼び、そのコイズミを自民党と対比させ、破壊者、挑戦者のイメージを植えつけようとしていたと言います。一方、2007年夏の参院選の安倍首相は一人称複数形です。「私たち自民党に大いなる力をお与えいただきますよう」と訴えていましたが惨敗です。

事後も「私どもの政策は間違っていなかった」とか、「私たちが約束を果たしていくかどうで批判があった」と答えています。そしてこの春、複数形である「ども」が消えたと言います。「私はTPP交渉に参加する判断をいたしました」とか、「必ず私は、日本の農業を、そして食を守っていきます。どうか私を信頼していただきたい」と、変わってきているのです。

明らかにこれは自分への自信の表われのような気がします。前回首相時の周囲側近の不祥事等、自らの足を引っ張ることが相次ぎ、政権挫折の遠因にもなったことに比べれば、現在の情勢の優位さが胸を張れ、この言葉に表われているのではないかと指摘しているのです。

自らの写真を載せた自民党ポスターにも、大きく日本を取り戻すと掲げていて、さもその通りのように進んでいるかに見える現在に、自信たっぷりの姿が推測されます。でもあまりにもひどかった民主党政権の後だから、全てうまくいっているように感じられているのではないでしょうか。

国民を変に刺激するような憲法改正のタカ派の姿は、参院選の前ゆえ、意識して抑えているようにも見えます。しかし4月28日に強行されようとしている、政府主催「主権回復の日」の記念式典は、「屈辱の日」として反対している沖縄県民の声にも全く耳を傾けようともしません。

この先、日本をどのような方向に向かわせたいのか、少しずつ垣間見れるものです。大きな問題も起こさず、このままスンナリ参院選まで突き進んだらその後が心配です。とにかく、政権運営が順調なだけに自信にあふれた強気な姿勢が懸念されるものです