会長の”三行日記”

2012.02.28

首相の器その1 No.2165

日経ビジネスにあの人気者の解説者・池上 彰さんが首相の器について書いていました。2008年9月に突然、福田康夫さんが辞任してからたった3年半で、麻生、鳩山、菅、そして現在の野田首相と4人も首相が交代しています。
 
そしてその前の安倍さんも加え、現在の野田さんを含めなければ5人もの首相が短期政権に終わっています。このように日本のトップはなぜすぐ辞めるようになったのかというのがそのタイトルです。
 
未曾有の不景気、東日本大震災、東京電力原子力発電所事故、国際経済の危機。日本の政治が直面する問題の数と規模は、間違いなく戦後最大と言っても過言ではないでしょう。まさに、政治家の手腕が試されるとき。

そんな日本で、首相の器たる人間は、はたしているのか? そもそも首相とは、何か?
というのが政治学者の御厨貴・東京大学教授との対談で述べられています。
 
まず安倍さん以来、どの首相も1年前後で辞めてしまっています。福田さんが政権を投げ出したとき、御厨先生はそのインタビュ-で「日本の首相というのはここまで軽くなったのか」と嘆いていましたが、当時よりもさらに「軽くなった」印象すらあると言われています。
 
その前の安倍さんはお腹が痛いといって辞めてしまったわけですが、中学・高校生に政治の話をする機会があったとき、女の子が質問してこう聞いてきたそうです。 
 
「安倍さんはどうしておなかが痛いぐらいで首相を辞めたんですか?私は病気になっても学級委員を続けました」と。先生も思わず答えました。「あなたが首相になった方が良かったね」。 
 
そして民主党が政権を奪ってから、そのリ-ダ-シップが発揮されるようになったかというと、そういうわけでもありません。初代の鳩山さんは夢物語ばかり語って、最後には普天間の移設問題で余分なことを言って、自損事故のような形で退陣に追い込まれました。
 
そして、その次が菅直人さんですが、今度は「辞めない」ことが問題になった人です。菅さんが首相になって明らかになったことは、「不信任決議案が一度、否決されたら首相を辞めさせる手立てはない」ということです。
 
首相の座が軽い一方で、日本の首相は、本人が辞める気にならなければ、居座ることができてしまうものということが万人に知らされたのです。
 
元々首相というのは 余力を残して辞めるものでしたが、近年はいきなり政権を放り出す人もいれば、周囲が辞めてほしくても、首相の座に無理やり居座り続けようとする人もいるような、不測の事態の連続だと言われているのです。
 
まだまだその話の続きはあるのですが、次回またご紹介することにして、とにかく現在の政治家の中に首相の器を擁する人は稀有ではないかということです。これでは山積する問題にはとても対処できないのではないでしょうか。パフォ-マンスではない、明治維新の志を持った真の政治家が求められるものです。