会長の”三行日記”

2012.02.15

渡辺謙さん No.2157

俳優の渡辺謙さんっていい人ですね。幾たびの困難を乗り越え、地球に戻ってきた、あの小惑星探査機「はやぶさ」を描いた映画「はやぶさ 遥かなる帰還」がこの連休中に封切になりました。
 
その初日、舞台あいさつにたった謙さんはこれまでの様々な思いがこみ上げ、胸を詰まらせ男泣きしたと伝えられています。情に厚い、人間味溢れる謙さんの一面を知り、好感が持てたものです。
 
というのも、この映画の撮影があの東日本大震災の後だっただけに、いろいろ考えていたようです。果たしてこのような時に、映画の仕事に自分がついてよいのかと。
 
でも苦難を乗り越えてふるさとに帰ってきたはやぶさのように、もう一度被災者にふるさとを見せてやりたいとの思いが強くなりました。震災より1ヶ月経ってから、謙さんは何度も被災地に足を運び、被災者を励まし、生きる勇気を与えたと伝えられています。
 
その数、何と3000人とも言われ、それぞれの方と語り合い、自分にできる役目は何か、常に考え行動に移していたようです。ちょうど阪神大震災のとき、その惨状を眺めても、急性骨髄性白血病と診断されていた自分に何もできなかったことも、強く影響を及ぼしているのでしょう。
 
そして災害を受けた日本にとって、この映画がどういう役割を果たし、自分たちに何ができるのか、という思いで撮影に入っていったとのことです。映画の中の素晴らしい研究技術者のように、幾たびかの苦難にもめげず、絶対最後まであきらめなかった、日本人がいたことを誇りに思い、伝えたかったようです。
 
またプロモ-ション活動にも自ら奔走し、63日間、世界中の各都市を回り数々の試写会を開催し、総移動距離4.2万キロとも言われています。その中にはスイスのダボスで開かれた世界経済フォ-ラムでも発言の場に立ち、絆の大切さと併せて、伝えられていない脱原発にも触れたとのことです。
 
嬉しいのは国内で真っ先に開かれた試写会は、被災地を選んだことです。ここにもその熱い思いが感じられます。はやぶさが運んだカプセルは小さな、小さなものかもしれませんが、届けた思いは謙さん同様、とても大きなものではなかったでしょうか。是非、映画の大ヒットを願いたいものです。
 
また謙さんの言われるように、2012年が新たな日本の出発の年かもしれません。