会長の”三行日記”

2011.02.14

一小燈、一隅を照らす No.1955

エジプトのムバラク政権が崩壊しました。先週末、その大統領職を辞任し、全権限を軍に移譲したとのことです。これで30年にも及んだ長期強権体制が終焉を迎えたのです。
 
そもそも、このきっかけとなったのは、チュニジアの独裁政権を倒した市民の民主化運動に始まり、それがエジプトに飛び火して大きな暴動にまで発展したのです。
 
また過日の朝日新聞記事によれば、チュニジアの大規模デモの始まりは、リヤカーの荷台で果物を売って生計を立てていた、一人の青年の抗議の自殺だったというのです。
 
この青年は昨年12月の朝、いつもの路上で商売を始めようとしたところ、そこへ役人3人がやってきました。そして営業許可がないからと言って、罰金(日本円で約2万3000円)を要求されたのです。
 
しかし青年の売り上げは1日でわずか290~400円です。法外な金額をふっかけ、いやがらせをする役人は、チュニジアでは日常茶飯事でありました。商売道具のはかりを奪われ、激しく抵抗しましたが、さんざん殴られたり蹴られた上に果物まで持ち去られました。
 
怒りが収まらない青年は、地元知事の事務所を訪れたが相手にされず、近くの商店で買ったガソリンを頭からかぶり、ライターを手に火をつけると叫んだそうです。
 
こうして誰も耳を貸さず、とりあってくれないことから、ついには火をつけ抗議の自殺を図ったのです。この衝撃的な事件があっという間に広がっていき、我慢に我慢を重ねていた民衆の怒りがとうとう火を噴き出したのです。
 
ですから、こんな小さな出来事がそもそも、その始まりだったと言うのです。それにしてもネットの威力の凄さを改めて知らされたものです。昨日もテレビでこの影響が大きいと言われている、フェイスブックのことを採り上げていました。
 
まさに友達の輪みたいなものなのでしょう。クチコミで良いことや悪いことが、忽(たちま)ちのうちに広がっていくのです。また気が合えば、その場で友だちになれるような仕組みになっているそうです。
 
こうしてひとり一人の力は小さなものですが、大きな塊りとなって終には政権までひっくり返す大きな力となったのです。まさに禅の哲学でいうところの「一小燈、一隅を照らす」と言えるのでないでしょうか。
 
それにしてもムバラク大統領の隠し財産は5兆円を超えるとも言われ、何とも驚かされるものです。国民が貧困に喘いでいる陰で、我が身はせっせと財産作りですか、とても許されるものではありません。
 
「市中引き回しの上、張り付け獄門」と、遠山の金さんに言われても仕方のない罪状です。悪い奴ほどよく眠るとも言われていますが、今はとてもおちおち眠ってはいられないのではないでしょうか。とにかく悪いことはできないものです。
 
明日15日は一日、お客様からの招待で会社を留守にします。カキコミは休ませて下さい。